食をめぐる問題

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 こうした「おいしい」「体に良い」に対する意識が高まる一方で、食をめぐる問題もクローズアップされるようになった。

 アメリカ農務省の発表によると、アメリカでは1日15万トン、国民1人あたり1ポンド(453グラム)の食料が廃棄されているという。これは世界平均の3倍にあたる量である。その一方で同省によると、7人に1人のアメリカ人が「food insecure」(食料不足)の状態にあるという。特に深刻なのは、外食産業や小売業者から出る廃棄食料である。

 こうした問題に対処するために、新しいスタートアップが次々と登場している。レストランやスーパーから出る廃棄食品を、ホームレス人口などに食料を届けるいわゆるフードバンクとつなげるアプリ「ミール・コネクト」や、検品ではじかれる見た目のよくない食料を業者から回収して消費者に届ける「インパーフェクト・プロデュース」など、少しずつではあるが、アメリカにあるれる廃棄食料を減らす努力が目に入るようになった。

 こうした問題はアメリカに限ったものではない。廃棄食料を減らすための努力は、世界中でさまざまなかたちで行なわれている。特に、スーダンやシリアといった紛争地域、ブラジルやベネズエラなどの政情不安定な国において飢餓が深刻な問題になっているが、長期的な見通しも明るくない。国連は2017年に発表したレポートの中で、中国やアフリカの人口増によって、2050年には食糧が枯渇するとの見通しを発表した。これまでのやり方に限界が来ているのは食の世界も同じだ。これからも増え続ける人口を支えるために、新しい食のソースが求められている。

 山火事やハリケーン、台風、土砂崩れ、地震といった自然災害の形で現れる気候変動や環境問題も、食の生産を見直さなければいけない理由のひとつである。「ファクトリー・ファーミング」と呼ばれる大規模な工場方式農業・畜産が、土壌の水を枯渇させ、水不足につながっている。特に牛を中心とする肉産業は、全人類による移動以上の温室ガスを排出しているのだという。人間たちが魚を捕りすぎたから、海の生態系が崩れている。

 だから今、よりサステイナブルな農業の方法が模索されている。水やエネルギーの消費、温室ガスの排出を抑えながら、環境や土壌に配慮しながら農業を提唱するムーブメントが大きくなっている。(続く)

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Text by 佐久間 裕美子