トランプ氏、国境警備強化法案に「待った」か 共和党内紛の可能性も

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◆トランプ氏干渉で共和党内紛?
 しかしここで登場したのが、数々の裁判に直面しつつ、今秋の大統領選の共和党候補指名を争うトランプ氏である。大統領選前にバイデン氏の手柄が増えることを阻止するためか、この国境法案を潰すよう下院の共和党議員に圧力をかけているという。ニューズウィークによると、同氏は1月27日にネバダ州ラスベガスで支持者を前に「私がひどい『アメリカ国境開放政策』を支援する可能性はゼロだ」と発言。そしてABCニュースによると、トランプ氏の圧力を受けたと思われる共和党のジョンソン下院議長は、内容全体を見ていないにもかかわらずすでに「この法案に示されているものでは国境を守ることはできない」「下院に到着後、即否決される」と話しているという。

 一方で前出のニューズウィーク記事によると、ロムニー上院議員やクレイマー上院議員、ランクフォード上院議員など、トランプ氏の干渉に反発の声を挙げる共和党議員もいるため、今後この問題が共和党内の内紛に発展する可能性もある。また下院にもバイデン大統領が勝利した地区から選出されたり、選挙区改正で選挙区が民主党優勢地区に書き換えられたりして、トランプ氏に迎合することで議員生命が危うくなる共和党議員もいる。バイデン大統領とこれらの議員がうまく交渉すれば、この法案が可決される道はまだ残されているはずだ。

Text by 川島 実佳