カンザスの再現、米中間選挙で民主党が勝つ? マイケル・ムーアが予言

10月29日に中間選挙の期日前投票をしたバイデン大統領|Tasos Katopodis / Pool Photo via AP

◆カンザス州の奇跡が繰り返されるか?
 そしてもう一つの例はカンザス州の州憲法改正投票である。保守派の力が強い同州では、ロー対ウェイド判決が覆されたことを受け、共和党が中絶禁止の方向に動こうとしたものの、中絶の権利が守られている同州憲法がそこに立ちはだかった経緯がある。そこで共和党は投票数が少ない予備選挙で州憲法改正投票を行うことにした。事前の世論調査では賛成派と反対派がほぼ互角だったが、カンザス州であるから憲法改正賛成派が勝つだろうという空気が広がっていた。しかしふたを開けてみれば投票者の6割が反対して圧勝するという、誰も予想しなかった結果となったのである。

 マイケル・ムーア氏が指摘するように、今回の中間選挙の早期投票数は記録的な数字になっているという。NBCニュースによると、10月30日時点までに早期投票を行ったのは全国的に民主党支持者が多く43%、共和党支持者が36%、そして無所属など「その他」が18%だった。世論調査は表面的な一部の有権者の意見しか反映されていない可能性が高く、ムーア氏の言う通り、真の意味で人々の投票動向とその理由がわかるわけではない。今回の中間選挙では経済など目先の事柄に惑わされず、中絶の権利や民主主義、環境を守るために、アメリカ人は賢明な選択をすることができるだろうか。

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Text by 川島 実佳