国が飲酒推奨?! 海外が国税庁のビジネスコンテスト「サケビバ!」に驚愕

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◆税収回復に必死? 国税庁打開に乗り出す
 酒類市場縮小を打開するため、国内の酒類業界の活性化や課題解決に役立つビジネスプランを、酒離れする世代自身に提案してもらおうという事業が「サケビバ!」だ。応募資格は20歳以上39歳以下の個人またはグループに限られており、プランは日本産酒類に関連するものに限られる。募集は7月1日からすでに始まっており、書類審査を通過した個人またはチームは、専門家とともにプランの完成度を高めた後、11月の本選大会に出場する。

 国税庁「酒のしおり」によると、酒類からの税収は政府の主要な収入源であったがここ数十年で減少しており、1980年に税収全体の5%だった酒税が、2011年には3%、2020年には1.7%に減少している。国税庁の介入は、日本の酒類業界がどうやっても消費の長期的減少を食い止められなかったためだとFTは述べる。同庁は今年初めに「Enjoy SAKE!」というプロジェクトも行っており、「サケビバ!」は、高齢化や人口減、健康と消費に対する考え方の変化の影響を相殺するため、政府が考案した制度の最新のものだとFTは皮肉も加えた。

◆飲酒に寛容過ぎ? ネット上に批判続々
 日本の飲酒文化はこれまでも海外でたくさん報じられており、2019年にはロイターが日本のアルコール依存症問題を取り上げていた。日本は飲み過ぎに寛容すぎるため、社会もアルコール依存症者も問題であることに気づきにくいという専門家の意見が紹介された。

 ドイチェ・ヴェレは2019年の記事で、酒は歴史的に日本文化の主要部分であり、伝統的行事でも酒を飲む習慣があると解説。職場でも「飲みニケーション」が大切とされ、コンビニでも24時間酒類の購入が可能だと述べていた。しかしお酒が簡単に手に入ることや、飲まなければというプレッシャーが副作用となり、公共の場でも泥酔している人が多く見られると指摘。ライフスタイルの変化も踏まえて、飲酒文化は変わらなければいけないという若い起業家の意見を紹介した。

 実際のところ、「サケビバ!」には「冗談?」「政府機関が若者に飲酒を勧めるのは不適切」「健康リスクやアルコール依存症への配慮に欠ける」といったソーシャルメディア上の反応があった(CNN)。また、飲酒はほどほどにという厚生労働省の呼びかけと食い違うとする意見もあったとブルームバーグは指摘している。これに対し、厚労省は今回の事業には関与していないとしつつも、コンテストの精神は「節度ある飲酒」という考えに沿うという理解だと説明。国税庁は酒類業界の振興が目的で、過度な飲酒を奨励するものではないとブルームバーグに回答したという。

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Text by 山川 真智子