トランプ氏、再選なら「議会襲撃犯に恩赦」 独裁化の危険

Jason Fochtman / Houston Chronicle via AP

 またトランプ氏はその翌日声明を公表。CNNによると、同氏は声明でマイク・ペンス前副大統領が「選挙結果を変える権利があった。そしていま彼らはその権利を取り除こうとしている。不運なことに彼はその権利を行使しなかった。彼は選挙結果を覆せたのに!」と述べた。しかしもちろん副大統領にそのような権利はなく、前例もない。

◆次々と暴かれるトランプ氏の不正
 このように好き勝手に振る舞い、あることないことを主張し、自分にとって不都合な結果なら暴力も辞さないトランプ氏がもし次期大統領選で当選したら、アメリカにはさらなるカオスが起こることは間違いないだろう。CNNは「トランプの恩赦の脅しは、彼が個人的なゴールや国益、または法の秩序を区別していないことを示している」と述べ、トランプ氏再選の場合は前回よりさらに独裁的になると警鐘を鳴らした。

 実際、トランプ氏が法の秩序を無視していることは事実で、最近また違法行為が明らかになった。NBCニュースによると、国立公文書館は2月7日、トランプ氏が昨年ホワイトハウスを退去する際、違法に15箱の文書をフロリダ州マーアーラゴの自宅に運んでいたことを公表。同図書館が1月にマーアーラゴに出向き、それを取り返した。トランプ氏はまだほかの書類を隠しているとみられ、調査は続けられているという。

 アメリカでは最近、トランプ氏による不正が次々に明るみに出て、毎日のようにニュースになっている。トランプ氏自身も自覚しているように、そのうちのいくつかで近いうちにトランプ氏が罪に問われる可能性は高いといえる。アメリカのこれ以上のカオスと分断を防ぎ、民主主義という政治的伝統を守るためには、もしトランプ氏逮捕が一時的な抗議行動などを招いたとしても、同氏の不正が法により裁かれた上で、再選を防ぐことが不可欠である。

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Text by 川島 実佳