トランプ氏、再選なら「議会襲撃犯に恩赦」 独裁化の危険

Jason Fochtman / Houston Chronicle via AP

 大統領就任前、そして在任中に数々の法律違反を犯した疑いのあるドナルド・トランプ前大統領が退任してすでに1年が経過したが、同氏はいまだに訴追されていない。だが、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官や同州マンハッタン地区地検によるトランプ・オーガニゼーションの違法ビジネスや詐欺などの捜査は刻々と進んでいるほか、ジョージア州で行われている不正選挙の捜査、そしてもちろん下院1月6日調査委員会や、司法省による連邦議会議事堂襲撃事件の捜査などがあり、捜査の手が間近に迫ってきていることを感じているのか、トランプ氏は2024年の大統領選出馬の動きを少しずつ強めてきている。同氏には2020年の無念を晴らしたい気持ちもあるだろうが、再び大統領に就任すれば、これらの訴追から少なくとも4年間は逃げられるという計算もあることだろう。しかし大統領選までにはあと2年9ヶ月もあり、さすがにそれまでには捜査や訴追において何らかの動きがあることは想像に難くない。

◆次期大統領当選なら「1月6日の人々に恩赦」
 そのトランプ氏は1月29日にテキサス州でラリーを開催。CNNによると、「もし自分が次期大統領になったら、1月6日の人々(逮捕者)を公正に扱う」「もし恩赦が必要なら恩赦を与える。なぜなら人々はとても不公平に扱われているからだ」と述べ、もし当選したら、1月6日に連邦議会議事堂を襲撃した人々、そしておそらく、それを計画したスティーブ・バノン容疑者や、すでに逮捕され拘留されている民兵組織「オース・キーパーズ」のスチュアート・ローズ容疑者などにも恩赦を与えることを示唆した。

 またトランプ氏は自分に法の手が迫って来ていることを察知しているようで、NBCニュースによると、ラリーで同氏を捜査するニューヨークとジョージア州の黒人州司法長官と検事3人を白人の自分を差別しているかのような言いがかりをつけ、「もしこれらの過激で悪質な人種差別主義者が、何か間違ったことや違法なことをしたら、ワシントンDCやニューヨーク、アトランタやほかの場所で、この国最大の抗議行動を起こすことを願う」と、自分の訴追を視野に入れ、支持者に抗議行動を起こすことを求めた。

 しかし、ただの抗議行動ならばアメリカでは合法のため問題はないが、トランプ氏は連邦議会議事堂襲撃を支持者にけしかけた人物である。トランプ氏の言う「抗議行動」とは、また1月6日のような襲撃を意味することはまず間違いないだろう。NBSニュースの同じ報道によると、トランプ氏の発言を受け、身の危険を感じたジョージア州フルトン郡のファニー・ウィリス連邦検事は、トランプ氏のラリー翌日の30日、連邦捜査局(FBI)にトランプ氏発言による危険を理由として、同検事室の警護を要請した。

Text by 川島 実佳