デンマーク、オミクロン拡大もコロナ規制を全面解除 その理由は?

デンマークのフレデリクセン首相(1月26日)|Mads Claus Rasmussen / Ritzau Scanpix via AP

◆高いワクチン接種率 制限解除に自信
 もっともデンマークでは感染が収まったのではなく、現在もオミクロン変異株の感染が増加中だ。人口580万人の同国では、ここ数週間で1日5万人以上の感染者を記録している。入院患者や死者の数も緩やかに増加傾向だ。しかし集中治療室に入る重篤な患者の数は減少中で、当局は医療体制に大きな負担は与えていないとしている。(AP)

 重症者が少ないのは、高いワクチン接種率のおかげだと見られている。デンマークでは5歳以上の人口の80%が2回接種を、60%が3回接種を済ませている(BBC)。ちなみにEUの3回目接種率の平均は45%弱だ。さらに、最近感染した人々を含めれば、国民の80%が重症化から守られていると当局は推定しているという(AFP)。

 ロスキレ大学の疫学者ローン・シモンセン氏は、ワクチン接種者にとってオミクロンは深刻な病気ではないとし、制限解除は妥当だとしている。また、オミクロン株が広がることで、より強固かつ長持ちする免疫につながり、次の感染の波を防ぐのに役立つと見ている。(AFP)
 
◆規制継続のコスト大 カギは信頼と連帯
 もっとも規制解除は早すぎるという国外からの意見もあるという。しかし政府のアドバイザーでもあるオーフス大学の政治学者ミカエル・バング・ピーターセン氏は、さまざまな懸念が落ち着くまで待たなかったのは、コストを考慮したためだと自身のツイッターで説明する。経済、健康、民主的権利のバランスを取ったのがデンマークの戦略だとし、規制解除は一部の人に負担を与えることになるが、多くの国民はそれを受け入れており、政府への信頼と社会の連帯の強さの結果だと見ている。

 AFPによれば、政府の戦略はコロナ発生から2年経った現在でも国内で幅広い支持を受けており、大手日刊紙ポリティケンの世論調査では、64%が政府のコロナ政策は信頼できると回答している。ただし規制撤廃後は自己責任を果たすことが国民に求められるとシモンセン氏は述べており、個々人が感染抑制にどこまで協力するかがポイントになる。以前の波より重症化率が低いことを受けて欧州各国も規制の軽減や解除に向かっており、先頭を行くデンマークの状況に注目が集まりそうだ。

【関連記事】
中国のゼロオミクロン戦略、世界的なサプライチェーンの混乱を呼ぶ?
オミクロン株、感染力の強さを警戒すべき理由
1月に社会麻痺の恐れ…仏諮問機関が危惧、オミクロン株拡大で

Text by 山川 真智子