バイデン政権1年、評価が分かれる理由 「トランプ後のバイデン」の終わり

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 米国議会でも共和党、民主党を問わず中国脅威論が超党派的なコンセンサスになり、米国民の間でもそれが高まっている今日において、その姿勢は支持されるであろう。しかし、昨年夏のアフガニスタンからの米軍撤退をめぐっては内外に混乱を招いたとして、それが結果的に支持率低下に拍車をかけた。現在バイデン政権は支持率低下に苦しんでおり、国際社会や米国民のバイデン氏を見る目は、すでにバイデン自身としてのバイデンになっている。今日、アフタートランプとしてのバイデンはない。

◆中間選挙とトランプとの戦い
 バイデン氏が支持率で苦しんでいるなか、今年11月には中間選挙が実施される。仮に中間選挙で上院・下院で共和党が優勢となれば、2024年の大統領選での再選はいっそう難しくなる可能性もある。そのようななか、トランプ前大統領は1月 15日にアリゾナ州で支持者を集めた集会を行い、「2024年にホワイトハウスを奪還する」と述べ次期大統領選に出馬する意欲を示した。アフタートランプとしてのバイデンはトランプ氏と争う必要はなかった。しかし、バイデン自身としてのバイデンはテロとの戦いを事実上終わらせるなか、今後はトランプとの戦いが本格化する可能性がある。

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Text by 和田大樹