バイデン政権1年、評価が分かれる理由 「トランプ後のバイデン」の終わり

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 バイデン政権の発足から1年が経った。この1年のバイデン政権の評価は専門家によっても分かれるかもしれないが、全体的にはマイナスの評価が多いように感じる。筆者としては、この1年のバイデン大統領は「アフタートランプとしてのバイデン」と「バイデン自身としてのバイデン」に区別できるような気がする。

◆アフタートランプとしてのバイデン
 昨年の1月、トランプ氏がホワイトハウスを去り、バイデン氏が新たな大統領としてホワイトハウスに入った。バイデン大統領は選挙戦の時からトランプ氏を非難し、脱トランプと国際協調主義を強調してきた。バイデン大統領はパリ協定への復帰や欧州との関係改善など、トランプ時代をリセットするかのような行動を積極的に示し、その当時は「トランプ政権で歯車が狂った米国」を通常の米国に回帰させる大統領というイメージが強かった。トランプ時代の政策を非難する米国民も多く、そこには一種の救世主のようなイメージがあった。つまり、バイデン自身が光っていたというよりは、トランプ時代を終わらせるのならば誰でも救世主のように映ったという現実があるように筆者は感じている。まさにアフタートランプとしてのバイデンがそこにはあった。

◆バイデン自身としてのバイデン
 しかし、当然ながら時間が経つにつれ、アフタートランプとしてのバイデンは影を潜め始め、バイデン自身としてのバイデンに注目が集まるようになった。バイデン大統領はトランプ氏と同じように対中国では強硬姿勢を継承し、トランプ政権で実行された中国への制裁措置を維持するだけでなく、新疆ウイグル自治区での人権問題を前面に出すことで新たな制裁を繰り返し発動している。

Text by 和田大樹