仏国旗の色変更、3年間知られず マクロン大統領の真意は?

Yoan Valat / Pool Photo via AP

◆EU加盟がきっかけ、明るい青に変更
 実はフランス国旗の青は、もともと濃いネイビーブルーだった。しかし1976年にフランスが現在のEUに加盟した時に、当時のジスカール・デスタン大統領が明るい色を採用した。

 テレビ映りを良くするためという説もあるが、EUとフランスの旗が並んで使われることが増えたため、EU旗の青色にフランスが合わせたとされている。これまでは、サミットや政治的イベントではフランス国旗とEU旗の青がぴったり合っていたのだが、昨年からは一致することが減り、色合いがずれているという。(news.com.au)

◆賛否分かれる 大統領の真意は?
 色の変更をめぐっては賛否がある。新しい色合いは醜く、EUの旗と衝突するという批判もあれば、1976年以前のバージョンを懐かしむ声もあり、意見の相違があったという(BBC)。

 クオーツは、マクロン大統領の決定の主な要因は色の美醜ではないとし、むしろ政治的な動機に基づくものだと考えられるとする。濃い色への回帰はフランス革命に敬意を表したもので、王政が廃止され第一共和国が成立した1794年の国旗と同じ色だと述べている。マクロン大統領に色の変更を促した一人であるArnaud Jolens氏は、EUに合わせた青の旗は、本当のフランス国旗ではなかったと「Elysee Confidentiel」の中で述べており、愛国心も感じられる。

 ガーディアン紙は、EU旗の青とは明らかに違うネイビーブルーに戻ったことは、フランスと欧州の不和の印だという深読みもあると述べる。大統領の側近はこれを否定。「青の戦い」はあり得ず、ナンセンスだと述べている。

 フランスは1月にEUの輪番制議長国に就任する予定で、マクロン大統領自身は4月に再選を控えている。国旗の色の変更を公にせず、ほかの機関に追随するよう指示しなかったのは、この変更による騒動を避けるためだろうとクオーツは述べる。ガーディアン紙は、たとえ何か考えがあったとしても、国旗という「国の深いシンボルに触れる大統領」というイメージを避けたいのだろうという、ヨーロッパ1の特派員の意見を紹介している。

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Text by 山川 真智子