感染増のなか規制解除へ向かうイギリス 専門家から反対の声

Daniel Leal-Olivas / Pool Photo via AP

 新型コロナウイルスの感染対策として長らく規制を続けてきたイギリスは、ワクチン接種が進んだこともあり、イングランド地域でほぼすべての規制を7月19日に撤廃する方針を示した。しかし、変異ウイルス、デルタ株の感染が拡大しており、時期尚早だという声が専門家から上がっている。経済再開を目指したい政府の判断が注目される。

◆感染急増、それでも規制解除に自信
 ジョンソン首相は、「自由の日」と呼ばれる規制解除の日をすでに4週間延期している。感染力の強いデルタ株の感染急増で死者が増えることを懸念し、より多くの人がワクチン接種を受けられるようにしたためだ。今回解除になれば、社会的距離に関する制限がすべてなくなり、ナイトクラブ、エンターテインメントや結婚式などの制限も撤廃となる。

 7月11日発表のイギリスの1日当たりの感染者数は3万人を超えているが、死者は26人と少ない。すでに少なくとも1回目のワクチン接種を終えた人は人口の68.7%で、2回目を終えた人は52.2%となっている。成人だけで見れば、1回接種を終えた人は87%、2回終えた人は65%と非常に高い接種率だ。こういった状況から、入院を要する人や死者の数は抑えられると見られており、サジド・ジャヴィド保健相は、1日10万人の感染者が出ることも想定していると話した。(ガーディアン紙

Text by 山川 真智子