「名ばかりの大会に」東京五輪開催に、海外から懸念・批判の声
◆政治と経済でがんじがらめ 東京五輪はやるしかない
海外メディアは民意が離れつつあることも問題にしており、1月の世論調査で国民の80%ほどが東京五輪は中止または再延期すべきと答えたことを報じている。それにもかかわらず、日本やIOCが開催確実と表明していることに批判的だ。
ガーディアン紙は、再延期は運営や組織上の理由に加え、1年後にすべてがバラ色になるという確信もないことから、実現可能な選択肢ではないと指摘。実質開催強行か中止しかないと見ている。日本としては、パンデミックが始まって以来最大のスポーツイベント開催国の名を、2022年の冬季五輪開催国である中国に渡したくないのだろうとしている。IOCの立場としては、2022年の北京大会がウイグル問題でボイコットされた場合に備え、是が非でも東京大会を開催しておきたいのではないかとしている。
さらに大問題は莫大なお金が関わっていることであり、そのために失われる命もあるということだと同紙は断じる。日本とIOCは、五輪が本当に正当化されるものなのか自問する必要があるとし、開催すると決めたのなら、伝えるだけでなく、ルールの徹底を図らなければならないとする。大会が中止になれば失望や経済的損失につながるが、五輪によってパンデミックが悪化するリスクと比較して考えるべきだと述べている。
ロイターは、「科学的、道徳的な義務を無視し、政治的、経済的目的のために東京2020を開催することは、世界の健康と人間の安全保障への日本の深い取り組みと矛盾する」という専門家の言葉をBMJの記事から引用し、開催再考が求められているとしている。
◆空っぽの祭典 大会は名ばかりに
APのスポーツライター、ベス・ハリス氏は、東京五輪はテレビのためのイベントになると述べる。選手や関係者、メディアなど、すべての人は日本滞在中も事実上監禁状態に置かれ、行動が制限される。五輪の素晴らしさは選手同士の交流だが、そのチャンスはない。世界中から来た観戦客同士の偶然の出会いや数年後共有されるはずの思い出話もなくなることになるとしている。
だが、収入の4分の3近くを国際放映権料に頼っているIOCにはこれで十分だ。また、日本政府が東京大会のためにどれだけの資金を投入したかを考えれば推進したい気持ちも理解できるし、選手たちの何があっても出たいという気持ちもわかるため、開催に突き進むだろうと同氏は見ている。結局、IOCがどう取り繕っても、パンデミックゲームとも言える東京大会の参加者は最終日まで薄氷を踏む思いで過ごすことになると指摘。喜びも魅力も高い理想も失い、自業自得のシニシズムのみが残る、名ばかりの大会になりそうだとしている。
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