不正の証拠なく次々却下 トランプ大統領の選挙訴訟の行方

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◆米国土安保省「歴史上最も安全な選挙だった」 
 トランプ陣営の選挙に関する訴訟はバイデン氏が接戦で勝利した州のみで行われており、自分が勝利した州や、バイデン氏が大差で勝利した州では行われていない。トランプ氏はとくに、バイデン氏の勝利が決定したペンシルベニア州に固執していることは明らかだ。

 同州とミシガン州、ウィスコンシン州では前回2016年の大統領選でトランプ氏が勝ったことから「バイデン氏が勝つはずがない」と偏見を抱いているのか、負けを認めないと言われるトランプ氏らしい行動である。

 トランプ陣営はいまのところ訴訟で不正の証拠を明確に示していない。しかも、NBCニュースの選挙結果ページによると、ミシガン州では約14万7000票の大差、ペンシルベニア州では約6万8000票の差でバイデン氏が勝利を収めており、小さなエラーや不正を見つけたところでトランプ氏が逆転する可能性はほぼゼロだ。ちなみに、ニューズウィーク(電子版)によると、トランプ政権の国土安全保障省は2020年の選挙が「アメリカの歴史上最も安全だった」と述べている。

 実際、トランプ氏や共和党がこのような訴訟で勝算があるとは思っているのかどうかも怪しいもので、本当のところ、相次ぐ訴訟の狙いは国民にバイデン政権の正統性に疑問を持たせ同政権にダメージを与えること、そして「本当は負けていないのに不正で勝利を奪われた」と自分自身や支持者に信じ込ませることなのかもしれない。

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Text by 川島 実佳