増えた黒人男性のトランプ支持 根底に「強い男」崇拝?

Rebecca Blackwell / AP Photo

 トランプ陣営が数々の訴訟を起こしているものの、2020年のアメリカ大統領選では民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が勝利した。しかし、選挙キャンペーン中、常に世論調査で10%前後のリードを保っていたバイデン氏にトランプ氏が猛追して「あわや」という事態になりかけたこともあり、トランプ氏の支持層が考えられていたより厚いことが明確になった。2016年の候補者だったヒラリー・クリントン元国務長官も、世論調査では常にトランプ氏をリードしていたのにもかかわらず、蓋を開けてみればエレクトラル・カレッジ(選挙人団)で負けた結果となったことから、世論調査が必ずしも選挙結果にはつながらないことも民主党にとっては今後の課題となっていくだろう。

◆黒人ラッパーが次々とトランプ氏支持表明
 今回の大統領選では、直前にトランプ氏支持を表明する黒人男性セレブが何人か名乗り出てきた。ラッパーのカニエ・ウエストが以前からトランプ大統領支持を公言していたことは有名で、彼が後に大統領選に「立候補」したのは、バイデン氏から黒人票を奪うためという説もあった。この例は特別だと思われていたが、選挙前になり、同じくラッパーのアイス・キューブやリル・ウェイン、リル・パンプなどがトランプ氏支持の姿勢を示したことから(アイス・キューブは選挙後「支持は表明したわけではない」と弁明)、黒人男性にトランプ大統領のファンが意外に多いことに注目が集まった。また、ジョージア州議会の民主党議員で黒人のバーノン・ジョーンズ氏もトランプ氏の熱烈な支持者だ。

 NBCニュースの選挙結果サイトによると、投票者全体ではバイデン氏の得票数が7616万2206票、トランプ氏の得票数が7152万9565票で、バイデン氏が約460万票多く獲得している(米東部9日午後11時時点)。カリフォルニア州やニューヨーク州、イリノイ州など、大都市を有する人口が多い州だけでもまだ合わせて500万票以上の票がカウントされていないことから、今後この差はさらに広がることが見込まれている。

 投票者の人種別カテゴリーを見ると、今回激戦州となった南部ジョージア州では全体で87%の黒人有権者がバイデン氏に投票。しかし性別で見ると、91%の黒人女性がバイデン氏に投票しているのに比べ、黒人男性のバイデン氏支持は81%で支持率がかなり落ちる。

 一方、民主党支持基盤が強いカリフォルニア州では、黒人有権者の83%がバイデン氏に投票。しかし男性ではこの数字が77%に落ち、トランプ氏支持者が17%で、こちらでも黒人男性がトランプ氏を支持する確率が上がっている。

Text by 川島 実佳

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