「大統領選の前に」トランプ氏、コロナワクチン接種開始を急ぐ

Hans Pennink / AP Photo

 2020年も終わりに近づいているが、アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大はいまなお収まる気配がない。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、日本時間の12日午後5時の時点で同国の累計感染者数は776万2807人、死者数は21万4771人で、感染者のなかには9月下旬にホワイトハウスで開催されたイベントで感染したと思われるトランプ大統領と同政権の面々やホワイトハウスで働く労働者なども含まれている。

 一方、新型コロナウイルスのワクチン開発は現在世界中で着々と行われている。アメリカではこれまで、来年初旬から春頃までにはワクチン接種が始まるのではないかとされていたが、あと3週間強に迫った米大統領選の世論調査で民主党候補のジョー・バイデン前副大統領に大幅なリードを許しているトランプ大統領が、ワクチン接種の前倒しを猛烈にプッシュしている。大統領自身がマスク着用やソーシャルディスタンスなどの基本的な新型コロナウイルス予防策を無視した結果、自分自身が感染・入院したことで、国民からは大きな非難の声が挙がっており、同氏としてはそんな流れを変えるためにも是が非でも選挙前にワクチン完成の報告をしたいのだろう。しかし、大統領の主張が米疾病予防管理センター(CDC)と食い違っているため、国民はそんな大統領の目論見に感づき、不信感と疑念を募らせている。

◆ワクチン供給時期でCDC局長を批判
 NPR(国立公共ラジオ、電子版)によると、CDCのロバート・レッドフィールド所長は9月、新型コロナウイルスのワクチンが救急隊員などに対し11月から12月頃には接種が開始される可能性はあるものの、一般に供給されるのは2021年の春か夏になると公表した。また、ワクチン供給は米食品医薬品局(FDA)の承認を得た後、6ヶ月から9ヶ月後になると述べた。

 同局長はその席で自分のマスクを指し、「私がCOVID(コロナウイルス)のワクチン接種を受けるときるよりも、このマスクのほうが予防効果が高いことを保証できそうだ」と話し、マスクの予防効果の高さを強調した。

 しかし同記事によると、トランプ氏はレッドフィールド所長にすかさず反論し、ワクチンの一般供給が「10月中のいつか、あるいはそれより少し遅くなるかもしれない」と主張。またレッドフィールド所長を「彼は自分自身に矛盾している」「ワクチン供給は迅速に行われる。彼はそれを知らないかもしれない」などと言って批判している。

Text by 川島 実佳

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