海外でも許さない…習主席侮辱の中国人留学生に禁固6ヶ月 強まるツイッター検閲

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◆大学も多く語らず 中国はお客様
 Axiosによれば、Luo氏のツイッターアカウントは2018年9月に開設されており、最後のツイートは拘束の1ヶ月前の2019年6月だったという。問題のツイートの一つには、中国政府のスローガンが、アメリカの漫画の悪役で習主席によく似ているとされるローレンス・リンバーガーの画像に重ねられたものがあったという。また、くまのプーさんの画像もいくつもリツイートされていた。ネット上で習主席にそっくりとネタにされたことから、プーさんは現在中国では検閲の対象となっている。

 ミネソタ大学は、Axiosのニュースを見るまではLuo氏の逮捕を知らなかったとしているが、情報収集中という理由で大学としての立場の表明を引き延ばしていた。実はミネソタ大学には中国、香港、台湾から3100人以上の学生が留学しており、留学生の45%を占めているという。学術的にも社会環境的にも規制の多い中国といかにうまく関係を維持するかが多くの大学の課題だ。同大学の広報担当者は、早急にコメントを出す、またはなんらかの対応を取るということはないと話し、他国の法制度に関し、公立大学ができることは正直わからないとコメントしている(スター・トリビューン)。

 一方大学内の言論の自由を支持するグループの代表は、学生が中国にいるためできることは限られるということは理解するが、大学として声をあげ、政治家に働きかけるべきではないかとしていた。実際のところ、逮捕のニュースを知った時点でミネソタ州選出の民主党議員らが、Luo氏の解放を中国政府に求めていた。また、ネブラスカ州選出のベン・サス上院議員は、「無慈悲で妄想に取りつかれた全体主義」の証拠だと、中国の姿勢を非難していた(同上)。

◆もう逃げられない……監視は国内から国外へ
 ツイッターは中国では禁止されているが、VPNを使ってアクセスする人々もいる。昨年のニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば、中国は活発にツイッターのモニタリングをしており、「攻撃的な」内容の投稿をする市民を見つけた場合は逮捕しているということだ。

 表現の自由を支持する非営利団体「PEN America」は、Luo氏の逮捕は中国政府による検閲が一段階上がった最新の例であり、海外に住む中国人の言論にまで検閲が広がっていることを示すものだとする。どこにいようが言論の自由はないという、海外在住者への中国政府のシグナルだったことは明白で、海外で学ぶ中国人、また彼らの言論の自由を守ることを求めるすべての学術機関に影響が出るとしている(スター・トリビューン)。

Text by 山川 真智子