中国建国70年 世界最長の共産党政権はどこへいくのか

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◆成長は人民の努力の結果 人権は犠牲に
 一方、ドイチェ・ヴェレに寄稿したプリンストン大学名誉教授でアメリカを代表する中国研究者であるペリー・リンク氏は、共産党は中国を世界第2位の経済大国に押し上げたことを強調し自国の世界一を誇るが、すべてが共産党の功績というわけではなく、多くが中国という国の大きさと人口によるものだと述べる。一人当たりの所得を見れば、中国文化に影響を受けた日本、台湾、韓国のほうがずっと経済的に成功している。また貧困から国民を引き上げたといっても、それは、労組や独立した司法もないのに、長時間低賃金労働をこなした中国人の頑張りによるものだとしている。

 ロサンゼルス・タイムズ紙に寄稿したヒューマン・ライツ・ウォッチの中国研究者Yaqiu Wang氏は、二つの中国が存在すると表現する。一つは歴史的物語と政府の宣伝機関によって増幅された、勝ち誇って前進する誰にも止められない中国であり、もう一つは疲弊し、否定され、闇のなかで息絶える中国だ。後者では、自由を求めて発言したために投獄され、行方不明になり、精神病院に入れられる。また新疆ウイグル自治区のムスリムのように、民族のアイデンティティーのみを理由に拘束される。そして一人っ子政策のため強制的に避妊手術や人工中絶をさせられ、政策の外で生まれた子供は学校にも行けない。もう一つの中国の存在を共産党は否定し、だれもそのことには触れられないと同氏は述べている。

◆民主化の期待は消えた 摩擦は中国復興の印?
 WSJは、天安門事件の後でさえ、中国が政治的により開かれた国になる可能性が見えた時代もあったと述べる。シンガポールのような比較的寛容で腐敗のない一党支配体制に進化することも期待されたが、胡錦涛時代を経て、習近平政権の支配でその希望は終わったとしている。

                                                                                                                 

 経済の減速や米中貿易戦争で中国は困ってはいるが、同時に国内では過酷な政治支配を行っている。人権弾圧、テクノロジーによる監視や検閲がそうだ。また国外では、南シナ海の島々の違法な占拠と軍事基地化、香港の自治という約束の不履行、一帯一路に参加する途上国の「借金漬け」なども問題化している。

 WSJは、多くの中国の指導者や、国営メディアの情報しか得られない市民は、こういったことを自国が国際問題において存在感を取り戻した結果と見ており、2世紀にわたる内乱と海外からの侵略の後、21世紀を支配するのは中国だと信じているとしている。

◆一党独裁と権力集中 崩壊の引き金に?
 上述のリンク氏は、現在中国が共産主義社会として70歳の最高齢になっていることを考慮すると、このままの体制が長くは続かないと考えることもできると述べる。さらに、米中貿易摩擦や香港の騒動など問題が噴出するなか、すべての分野で権力を握ることの問題はすべての責任を一手に引き受けることだとして、習主席への権力の集中が崩壊を招く可能性があることを示唆している。

 WSJは、中国の景気後退はアメリカにも打撃があるため、アメリカは中国と共存すべきで、中国が国際社会の規範から外れる場合は、厳しく押し返すべきと述べる。共産党の崩壊が差し迫っていると予測すべきではないが、独裁主義者はしばしば実際より強く見えるとし、党の完全な政治的支配への固執が、破滅の元になるかもしれないとしている。

Text by 山川 真智子