セクハラ告発も人気衰えず 米大統領選の有力候補バイデン氏

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

◆「友人同士のサポート」とバイデン氏を擁護する声も
 しかし、ほかの女性たちはバイデン氏を批判する声を一蹴している。4月1日付 ニューズウィーク(電子版)によると、夫であるアシュトン・カーター元国防長官の就任式でバイデン氏に背後から肩に手を置かれ、耳に何かを囁かれている写真を公表されたステファニー夫人は、バイデン氏が「いつもの自分らしくなくナーバスだった私をサポートしてくれていただけ」、「仲の良い友人同士の長い時間を映したビデオから誤解を招くように抜き取られた一瞬の写真が、意地の悪いツイートで配信され、その日の記憶に残るイメージとなってしまった」と話している。

 ステファニー夫人のほかにも、バイデン氏の親友ともいえる故ジョン・マケイン上院議員の娘メーガンさんや、女優のアリッサ・ミラノもバイデン氏を擁護している。

◆一般の反応は冷ややか バイデン氏の人気衰えず
 今回のバイデン氏の騒動に関するアメリカ人の反応は、一種冷ややかであったといえる。記事のコメント欄でも、「なぜこのタイミングで公表するのか」「これがセクハラなら握手もダメになる」という声が大半を占めた。しかし、女性側からは「こんなことをされたら気持ちが悪い」というコメントもあった。確かに、バイデン氏はアメリカ人にしてはパーソナルスペースが近い人といえる。

                                                                                                                 

 2009年1月から2017年1月まで副大統領を務めたバイデン氏は人懐っこく親切な人物であるという評判で、民主・共和両党にも多くの友人を持つ。バイデン氏が男女分け隔てなくハグをしたり顔を近づけたりすることは、オバマ前大統領との数々の写真でも見て取れるが、そこに性的なニュアンスは感じられず、「レイプ文化を助長する」などという発言はいささか大げさであるばかりか、同氏を陥れようとする意思が感じられることは否めない。

 筆者の住むハワイでもそうだが、アメリカでは地方や場合によっては初対面の人同士でもハグをしたり頬にキスをしたりする文化も存在することを踏まえれば、今回の件は個人的な「パーソナルスペース」の差であるとも言える。

 しかしバイデン氏を個人的によく知らない人、とくに女性が肩に手を置かれたり、耳元で囁かれたりすれば、それは「セクハラ」として映る可能性もあるだろう。「#MeToo」の時代、男女ともよく知らない異性に触れたりすれば、そう思われても仕方がないご時勢である。とくに政治家は行動に細心の注意を払わなければならないといえるだろう。

◆告発者はサンダース議員の支持者 バイデン氏の妨害狙い?
 一方で、最初に名乗り出たルーシー・フロレスさんは過去バーニー・サンダース上院議員の選挙活動をサポートしていた人物でもあるという。バイデン氏が出馬を公表しようとしたタイミングで、5年前に起こったことに関して今バイデン氏を責めるのは、同氏の出馬を阻止するためではないかという見方もある。

 オバマ前大統領と同様、政治的には中道派であるバイデン氏は、2020年大統領選の民主党候補として本命視されている。政治統計サイト『モーニング・コンサルト』による最新世論調査(4月16日付)では、バイデン氏が公式に出馬を公表していないにもかかわらず、同氏が民主党候補のなかで31%の支持率を誇りトップを走っている。

 その後4月の1週目を過ぎ、バイデン氏に対する「セクハラ告発」はぴたりと止んだ。2020年大統領選を来年に控え、民主党内で何らかの調整や指導が行われた可能性もあるだろう。

Text by 相馬佳