「若い人、投票しないで」老人たちが煽る「私はするけど」 ユニークな投票推進動画

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◆ミレニアル世代に火をつけろ
 こうした斬新なCMは、11月6日の米中間選挙を睨んでのものだ。タイム誌は、高齢者よりも低迷する若年層の投票数へのテコ入れが目的だと伝えている。

 CMを製作したアクロニムの創設者は、「出だしから人々の関心を引き、感情を掻き立てるような広告を製作したいと思っている」と説明する。同NPOによると一連の広告は数多くシェアされており、前向きな反応が寄せられているという(同上)。米ABCグループのエイト・ニュースは、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター広告として配信されているこれらの動画は、皮肉や人種への偏見を取り入れることで投票を促すものだと述べている。愉快だったり、あえて人を怒らせたりする内容にすることで、投票への参加を迫るねらいがあるようだ。

◆投票数は増加の見込み
 動画の影響はさておき、タイム誌によると、中間選挙の投票数自体は上昇する見込みだ。トランプ氏の大統領就任2年目となる今年、中間選挙を通じて就任以来の実績が国民に評価される。9月25日の有権者登録日には80万人以上が有権者登録を行い、過去最高だった2年前の大統領選での記録を更新している。

 トランプ氏の政策への反感も若年層の投票数アップの要因となりそうだ。ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏の共和党に対抗する民主党の議席数拡大を望む声が大きく、これが投票に参加する動機になると指摘している。2014年と2010年の中間選挙の投票数を上回る可能性があるという。ハーバード大学の政治研究所が実施したアンケートによると、30歳以下の有権者のうちおよそ43%の人々が必ず投票に行くと回答している。2014年の数字は26%であり、事前アンケートの段階とはいえ大きな改善が見られる。

 老人たちが好き勝手を語ったり、若者のライフスタイルを皮肉ったりするユニークなCMは、さらに多くの若者を投票所へ駆り立てるだろうか。

Text by 青葉やまと