及第点? 安倍首相の6年間の経済政策、海外メディアの評価は
◆国の借金、少子高齢化……問題は山積み
その一方で、問題点も指摘されている。CNBCは、日本経済の規模の2倍以上の国の借金や少子高齢化による医療や社会保障コストの上昇を懸念し、国の莫大な負債と借金を金融政策でカバーし続けていると述べる。
ロイターの調査に回答したエコノミストたちは、もっともうまく行かなかった分野として、17人が「生産革命」、13人が「地方の活性化」、8人が「戦略的経済特区」と「人的資源投資」を上げている。
ブルームバーグも、賃上げを通じての消費拡大はできなかったし、雇用の面では40%が非正規労働で不安定な職についていることを指摘している。また、女性の仕事は低賃金、パート労働から抜け出せず、女性管理職も少ないことを問題視。スキルのない外国人が働くことは容易になったが、家族を呼び寄せることや永住権を取ることは困難だとしている。
安倍首相が再選されても、日本経済には問題山積みというのが海外メディアの見方だ。
◆持続可能な成長のため、首相は経済に集中を
ロイターの調査に参加したエコノミストたちは、安倍首相の新政府がフォーカスすべきは、「医療・社会保障改革」、「労働改革」と「生産性の向上」と見ている。IHSマークイットの首席エコノミスト田口はるみ氏は、財政再建は医療・社会保障改革なしでは前進は困難と述べ、生産性を改善することによる持続可能な成長と、賃上げで将来の不安を和らげることも、消費を増やすためには大切だとしている。
CNBCは、家庭の消費や、住宅投資が成長を牽引すると思われているが、人口減少と子供を持つ人が減る日本では期待できないとし、今後日本経済を成長させるカギは輸出だと言い切る。異次元の金融緩和で円安が進んでから、輸出は好調だ。今年の第2四半期まで12ヶ月間年率6%で成長しており、GDPにも貢献している。今後トランプ政権下のアメリカへの輸出は厳しくなるだろうが、欧州への輸出は今年前半で9%上昇。中国や東南アジアへは昨年より減ったものの、9~11%で成長している。輸出先を多様化することで経済活動を滞らせないことができるとしている。
ブルームバーグは、安倍首相のレガシーは経済だとし、限られた政治的資本を憲法9条改正のための騎士気取りの探検に費やしてはいけないと警告する。やるべきことは、経済計画を最後までやり遂げることだとし、それこそが歴代最長の総理大臣の名にふさわしい業績だと述べている。
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