ついにここまで? 海外メディアの見る安倍政権のゆくえ、日本経済への影響

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◆アベノミクスも終了か?待つのは円高
 CNBCは、安倍首相が退陣した場合の日本経済の行方を懸念し、日本再生を助けたアベノミクスに支障をもたらすと指摘する。政治リスクコンサルタント会社Teneo Intelligenceのトバイアス・ハリス氏は、首相が任期を満了して退いた場合、アベノミクスを継承する後継者へのサポートをすることができるが、途中退陣となった場合、強い関与はできないだろうとしている(CNBC)。

 マーケット・ウォッチは、安倍首相退陣となれば、アベノミクスが終わるかもしれないと見ている。そしてアベノミクスの量的緩和がもたらした円安から、円高に戻る可能性を指摘している。

 一方、フィナンシャル・タイムズ紙は、投資の観点から、安倍政権退陣でも1年前に比べればそれほどダメージはないという意見を紹介している。アベノミクスは投資テーマとしてはアクティブな魅力はすでに失っているうえ、グローバル経済のおかげで景況感は良いし、2018年度の予算も決定し、黒田日銀総裁の2期目も承認済みだ。日本経済は、株式ファンド、ウィズダムツリー・ジャパンのジェスパー・コール氏に言わせれば、「自動操縦モード」にあり、すぐには変わらないという見方のようだ。

◆挑戦者は実質なし?結局続投も
 ロイターは、岸田元外相、石破元防衛相が後継者と見られているが、どちらも安倍首相チームと同等のスキルで官邸パワーのレバーを引く資質はなさそうだというアナリストの意見を紹介している。結局以前の首相が次々と交代する回転ドア状態に戻りそうだと一部の専門家は指摘している。

 前出のコール氏は、党内に真の挑戦者はいないと述べ、安倍首相が再選されるのではないかとも述べる。これからの数週間が、安倍首相にチャレンジするには絶好の時期だが、だれもそれができるだけの首尾一貫した戦略をまとめていないため、結局出て来ないと予想している(CNBC)。

Text by 山川 真智子