国家主席の任期撤廃、習氏の長期政権に内外から不安の声 「負の連鎖の可能性も」

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 中国・共産党中央委員会は国家主席と副主席の任期を撤廃する憲法改正案を発表した。この改正案が可決されると、現在2期目を務める習近平氏が2023年以降も国家主席となることが可能となる。習近平氏の独裁政権を生み出すかも知れない改正案に関しては、中国の内外で様々な反応が見られる。

◆一部の株価は「あやかり」上昇
 ビジネスインサイダーによると、国家主席の任期撤廃の改正案発表をうけて中国テック系企業深セン・エンペラー・テクノロジー社の株価は10%上昇した。また、同じく中国テック系企業であるハルビン・VITI・エレクトロニクスの株価も7%上昇した。ちなみに、後者の企業名には中国語で「強力な皇帝」という意味が込められている。しかし、中国市場全体の株価を代表する指数であるCSI300指数は、1%の下落が見られた。

 こうした一見奇妙な中国市場の反応に関して、上海で活躍するアナリストであるヤン・ ホンシュン氏は「今回の値動きは純粋に「すばやい加熱」にしか過ぎません。市場のファンダメンタルズには何ら関係ありません」と言っている。というのも、今回一部の企業の株価が上昇したのは、企業名に「エンペラー(皇帝)」という言葉や意味が含まれているからと見られているからだ。中国における株取引では、こうした名前や発音にあやかる手法が一般的なのである。過去の例では、2016年11月、アメリカ大統領選挙においてトランプ氏優勢と報道された時、ワイズソフト社の株価が上昇した。こうなったのは同社を中国語で発音すると、「トランプ・ビッグ・ウィン(トランプ氏大勝利)」のように聞こえるからであった。

Text by 吉本 幸記