中国からの謎の郵便物、電話の正体は? 日本にも忍び寄る魔手

U.S. Department of Agriculture / flickr

◆アメリカはやりやすい 中国詐欺集団が横行か?
 実は中国人によるアメリカを舞台にした詐欺は、以前から問題となっている。米公共ラジオ網NPRの2018年の記事によれば、自動音声メッセージを使った詐欺事件が多発していたという。メッセージは中国語で、ニューヨークなど移民の多い地域に住む中国語話者を狙ったものだった。

 メッセージには何種類かあったが、ほぼ以下のようなパターンだった。まず中国領事館を装った「あなたのアメリカでの身分に関わる大事な問題が発生している」という音声メッセージで相手を驚かせる。そこから偽の専門家に相談させるため電話を転送。さらに偽の警官へと転送し、「中国の警察があなたを金融詐欺で捜査しているが、香港の銀行に送金をすれば、現地の警察が解決してくれる」と説得する流れだった。

 ニューヨーク警察には、この詐欺にひっかかったという数十件の苦情が寄せられ、推定300万ドル(約3億2000万円)の被害が出たということだ。また、ニューヨークの中国領事館にも、100件ほどの苦情が寄せられていたという。中国領事館の職員は、こういった電話は中国以外からも簡単にかけることができるため、中国警察も取り締まることが困難だと述べている。また、この電話をかける詐欺集団は、電話に表示される発信者として、本物の中国領事館の番号を表示するという巧妙な手口を用いており、被害者も信じてしまったということだ。詐欺は全米に広がっていたということで、種の場合と同様に、中国の詐欺集団にとってアメリカは利用しやすい場所となっている。

 また最近日本でも、中国語の音声ガイダンスが流れる不審な電話がかかってきたという報告が有名人やSNSユーザーからあがっているが、アメリカと同様の手口で詐欺が行われているのかもしれない。

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Text by 山川 真智子