フランス人はなぜウレタンマスクをしないのか?

Michel Euler / AP Photo

◆フランスのマスク規格と性能基準
 では、フランスが定める布マスクの種類、カテゴリー1とカテゴリー2の違いは何か? カテゴリー1とは3㎛の粒子濾過率(BFE)が90%以上のもの、カテゴリー2とはBFEが70~90%のものを指す。3㎛は細菌のサイズとされている。

 FFP2マスクとは、日本でいう防塵マスクのことだ。ヨーロッパEN規格のFFP2以上は、日本の規格だとDS2以上、米国NIOSH規格だとN95以上に相当する。この規格で測定されるのはPM2.5のような最も細かな微粒子で、これらのマスクは、その濾過率(PFE)が約95%以上である。サイズでいえば約0.1㎛と細菌の30分の1のサイズということになる。それを防ぐのだから、当然、呼吸も非常にしづらく、長時間は装着できないマスクだ。

 サージカルマスクとは医療用マスクのことだが、実は、日本には性能規格基準が存在せず、米国の規格ASTMを代用することが多い。これは欧州のCE EN14683規格に相当し、どちらも3種に分けられ、低バリアのものでも細菌濾過率(BFE)が95%以上で、欧州規格のものは、微粒子濾過率(PFE)も約95%以上である。

 まとめると、フランスでは、機能の高いものの順から、EN規格の3レベル(いわゆる防塵マスク)、CE EN14683規格の3レベル(医療用マスク)、大衆用マスクの2レベル(布マスク)と、それぞれに性能規格基準が設けられている。

 そうして、感染力の高い変異株の出現により、今回使用を推奨されなくなったのは、このなかの機能でいえば最下位のカテゴリー2の布マスクというわけだ。

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Text by 冠ゆき