いじめ対策に本腰を入れるフランス 加害者に厳罰、サポート強化

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◆反スクール・ハラスメントの日
 周知は当事者である生徒たちへも行う。フランスでは数年前から11月休み明けの木曜日を「反スクール・ハラスメントの日」としている。今年は9日にあたり、フランス全国の学校は、スクール・ハラスメント関連の話し合いに2時間割いた。また、小学3年生以上のすべての生徒を対象に無記名のアンケート調査を行った。(20minutes紙、11/9)

 この日は、ボルヌ首相も、アタル教育相、元教員であるブリジット・マクロン大統領夫人とともに、パリの中学校を視察訪問し、スクール・ハラスメント問題に本気で取り組む姿勢を示した。(20minutes紙、11/9)

◆全国の小中高でアンケート調査
 今回全国で実施されたアンケートは、学校生活のさまざまな場面で、生徒が自分の精神状態をどのように捉えているかを問うものだ。これは、フランスにおけるスクール・ハラスメントの現状を捉えるとともに、内在するスクール・ハラスメントの探知を目的としている。

 その具体的な内容は、「ほかの生徒(たち)が原因で学校に行くのが怖いですか?」「ほかの生徒(たち)との関係が原因で嘘をついて学校を休んだことがありますか?」「何か噂の種にされたことはありますか?」「(あなたの見た目、出身、宗教、性的指向などを理由に)ほかの生徒(たち)にからかわれたり、侮辱されたりしたことがありますか?」「ほかの生徒(たち)に服を脱がされそうになったことがありますか?」など、学校生活に直接関わる問いから始まる。

 さらに、「あなたの了承なしに、携帯電話やSNS、ゲームサイトなどであなたの写真やメッセージが出回っていますか?」「あなたの了承なしに、携帯電話やSNS、ゲームサイトなどで、あなたの連絡先が出回っていますか?」というサイバー空間に関わる問いがあり、「学校生活が原因でよく眠れなかったり、悪い夢を見ることがありますか?」「理由なく腹が立ったり、攻撃したくなることがありますか?」といった現在の精神状態を尋ねる内容が続く。

 ここまでの34問は「まったくない」「時々ある」「よくある」「とてもよくある」のいずれかで答えるものだが、最後の10問は「はい」「いいえ」の2択で答える問題で、学校やネット上で嫌がらせを受けた時に誰かに助けを求めたか、スクール・ハラスメントの「ホットライン3018」を知っているか、クラスでスクール・ハラスメントを受けている生徒を知っているか、などを問うものだ。

Text by 冠ゆき