家賃だけで消える学生ローン…困窮する英大学生、学業断念も

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 イギリスで物価高騰などの理由から家賃が大幅に上がっている。その影響で、苦境に立つ大学生が増加している。生活費のローンを借りても、家賃の支払いによって残金はわずか。教科書すら買えない状態に追い込まれている学生も出ている。

◆生活費高騰 ローン残金は週92円
 イギリスの大学生の家賃が過去2年間で約15%上昇した影響で、生活維持のために借りたローンの大半が家賃の支払いで使い切り、1週間平均50ペンス(約92円)相当しか手元に残らないことが、最新の調査でわかった。

 学生の住まい探しを支援する非営利団体ユニポールと高等教育政策研究所のへピがロンドンとエジンバラを除く10主要地方大学都市の学生の賃貸市場を調査し、その結果を10月26日に公表した

 その調査によると、イングランドの現在の学生の年間平均家賃は7566ポンドだが、学年度の平均生活ローン額は7590ポンドになる見込みで、ほかの生活必需品のための残金は24ポンド、1週間の金額で50ペンス(約92円)相当にしかならない。

 学生が借りる部屋の45%が大学提供のもので、過去2年間で平均10%の賃料上昇となった。残りの55%は民間の部屋で、賃料は19%上昇した。賃料はロンドンやエディンバラに限らず地方の主要10都市すべてで上昇している。ブリストルでは平均年間賃料は9200ポンド(約170万円)と首都ロンドンを除き最高額に達し、過去2年間で9%上昇した。

Text by 中沢弘子