「福島の処理水放出は安全なのか?」海外メディアはどう伝えたのか

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 日本政府は、東京電力福島第一原発から出る汚染水を浄化した処理水の海洋放出を24日に開始すると発表した。貯蔵用タンクの容量は限界に近く、今後の廃炉計画にも影響することから、これ以上の先送りはできないと判断したようだ。海外でもこの問題への関心は高く、各国のメディアが報じている。

◆科学に基づく決定 近隣国からは激しい反発
 処理水にはトリチウムなど一部の放射性物質が残るが、海洋放出による人や環境への影響は科学的に見て軽微だとされ、放出計画は国際原子力機関(IAEA)から「国際的な安全基準に合致する」との評価を得ている。BBCフィナンシャル・タイムズ紙(FT)、ガーディアン紙ワシントン・ポスト紙ロイターCNBCなどの欧米主要メディアは、科学的にサポートされた日本の決定は妥当だという見方を示している。しかし国内の漁業関係者、環境・人権保護団体に加え、一部の国からは強い反対があると報じている。

 香港は放出に反対を表明し、東京、福島などの日本産水産物の輸入を禁止すると発表した。韓国政府は、放出は科学的に問題ないと評価しているが、必ずしも賛同したり支持したりするものではないと表明。市民の間では数百人規模の抗議デモが起こっているとCNBCは報じている。最も反発しているのは中国で、「海は日本の核汚染水の下水道ではない」と批判し、日本産水産物に対する輸入規制を強化した。

Text by 山川 真智子