政府がネットを遮断するとき イラン、スリランカ、セネガルの例から考える

イラン首都テヘランでのデモ(2022年9月21日)|AP Photo

◆2019年秋以降拡大したイランデモ
 2019年11月、イランでは突然ガソリン価格が50%引き上げられ、それに反発する市民による激しいデモが一気に全土に拡大した。各地で若者らと治安部隊の衝突が相次ぎ、死傷者や逮捕者の数は数百、数千に上ったとされる。ネット遮断による通信障害はイラン全土に及び、それによる経済損失は1日に日本円で65億円に上ったとも言われる。

 冒頭に書いたように、2022年も20代の女性が死亡したことが引き金となって勃発した大規模デモでも、イラン政府はネット遮断を繰り返した。

◆反政府の国民の集結を抑える狙い
 そして、最近ではセネガル政府が8月、国家の安全を脅かすメッセージが拡散されているとして、動画アプリTik Tok(ティックトック)の利用を停止した。同国では野党指導者への有罪判決に反発する市民らによる激しい抗議活動が続いており、7月下旬からはインターネットへのアクセスも制限されている。

 これらから言えることは、政府がインターネットアクセスを遮断する背景には、反政府の声で国民が集結するのを抑える狙いがある。今から10年ほど前、アラブ諸国では「アラブの春」が発生した。独裁体制の崩壊を求める若者らによる大規模デモが発生し、長年強固な独裁体制を敷いてきたエジプトのムバラク政権やリビアのカダフィ政権、チュニジアのベンアリ政権があっという間に崩壊した。これらの背景にはインターネットやSNSによって国民の集結や結束が一気に進んだことがあり、これ以降、各国の政府はインターネットが秘めるパワーを恐れるようになっている。

Text by 本田英寿