「猫の島」キプロス島、猫コロナウイルスが流行 30万匹死亡とも

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◆効果が期待できる薬は2種類
 FIPは、その症状が多様であることや、コロナウイルスのサブファミリーが多いことなどから、確実な診断自体が難しい病気だ。そのため、今回キプロスでもすでに30万匹の猫が死んだと推定されているにもかかわらず、公式にFIPと診断されたケースは107件に過ぎない。(ウェスト・フランス紙、7/11)

 効果が証明されたFIP治療薬は今のところ存在しないが、2種類の抗ウイルス薬に効果が期待されている。キプロス共和国内で認可されているのはそのうちの一つの「GS-441524」のみだ。ただし輸入制限があるため、ごく少量しかない。しかも高額で、猫一匹の治療に数千ユーロかかる計算だ。そのため、もう一つの抗ウイルス薬モルヌピラビルを動物用に認可し、約200ユーロ(約3万円)で提供すべきだという声が国内で高まっている。(20minutes紙、7/12)

 キプロス島の北部はトルコが占領しているが、おそらくこのトルコ地域に感染が拡大するのも時間の問題だろう。トルコ本国や近隣のレバノンへの影響も出る可能性が高いと考えられるが、公式な調査は行われていないというのが現状だ。(アクチュ紙、7/12)

Text by 冠ゆき