「猫の島」キプロス島、猫コロナウイルスが流行 30万匹死亡とも

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 キプロス島のキプロス共和国で、猫の感染症が流行。今年の1月からすでに30万匹の猫の死因になったと見られている。

◆ヒトには感染しない猫コロナウイルス
 流行している猫伝染性腹膜炎(FIP)は、コロナウイルスの一種である猫伝染性腹膜炎ウイルスを原因とするもので、非常に高い感染力を持つ。ただし、ヒトには感染しない。

 コロナウイルスへの感染だけならば、保菌猫となるだけで猫の健康には特に影響がない。だが、何らかの理由でこのウイルスが「猫伝染性腹膜炎ウイルス」に変異を遂げると、FIPの症状を引き起こす。

 FIPを発症した猫は2~5週間でほぼ100%死に至る。今のところFIP予防のワクチンは存在しない。キプロス島の猫は、90%がコロナウイルスを保菌していると考えられており、事態は深刻だ。

◆猫の島、キプロス
 キプロス島は時として「猫の島」と呼ばれることがあるほど猫が多い島で、その数は100万匹以上。キプロスの人口約120万人よりも多いのではないかともいわれる。

 同島には、ローマのヘレナが蛇を駆除するために猫をこの島に持ち込んだという伝説がある。だが実際は、古代ローマよりずっと以前からキプロスには猫がいた。というのも、紀元前7000年に遡る墓に、男性と猫が一緒に埋葬されているのが2004年に発見されたのだ。これは、猫を飼いならしていたことを示す世界最古の証拠でもある。

Text by 冠ゆき