富豪との癒着疑惑だけではない、物議を醸す米最高裁判事の行いとは

クラレンス・トーマス米最高裁判事|J. Scott Applewhite / AP Photo

 非営利の米調査報道サイト『プロパブリカ(ProPublica)』は、米連邦最高裁判事のクラレンス・トーマス(Clarence Thomas)が共和党の大口献金者から毎年豪華旅行の接待を受けていたことを明らかにし、波紋を呼んでいる。その詳細とは。

◆トーマス判事とビリオネアの癒着疑惑
 4月6日に公開されたプロパブリカの記事は、「クラレンス・トーマスとビリオネア」というタイトルがつけられている。記事によると、トーマス判事は過去数10年の間、毎年のように不動産業界の大物で共和党の大口献金者であるハーラン・クロウ(Harlan Crow)から豪華な旅行の接待を受けていたが、その情報を開示していなかった。豪華な旅行とは、たとえばプライベート・ジェットでインドネシアに旅立ち、そこから専属スタッフとシェフつきの豪華ヨットで群島を回るといったようなものだ。プライベート・ジェットと船のチャーターは50万ドル(約6600万円)は下らないとプロパブリカは推計する。判事はほかにもカリフォルニアの男性限定の会員制リトリートクラブ、ボヘミアン・グローブ(Bohemian Grove)などに招待されていた。公務員である判事の給料は28.5万ドル(約3800万円)だ。

 さらに、トーマス判事は、クロウのプライベートリゾートにも何度も訪問していたようだ。40万平米以上の敷地内には人工の滝があり、プライベートシェフがゲストをもてなすダイニングホールが備えられている。トーマス判事がクロウや影響力のある弁護士を含むゲストたちと、リゾートで葉巻を楽しんでいる姿は絵画にまで描かれている。リゾートの元従業員やほかのゲストたちの証言も、トーマス判事がクロウのリゾートに頻繁に出入りしていたことを裏付けている。また、判事がクロウのプライベート・ジェットを使って彼のプライベートリゾートを訪問していたと思われるセキュリティ記録やプライベートジェットの飛行データも明らかにされている。

Text by MAKI NAKATA