エコのために「破壊」もいとわない活動家たち 一般市民との間に亀裂も

ドイツ西部ノイラートにある石炭火力発電所近くの線路を封鎖する活動家(1月17日)|Oliver Berg / dpa via AP

◆目の敵にされる娯楽と高級車
 環境活動家らによる過激な抗議といえば、名画に缶詰の中身などをかける事件が2022年秋に世界の複数の美術館で起こり、耳目を集めた。

 美術品と同じように環境活動家らに目の敵にされているのは自動車産業、特に高級車だ。2022年10月に開かれたパリのモーターショーでは、赤いフェラーリに黒いペンキをかけるなどのパフォーマンスが行われた。ロンドンではアストンマーティンのディーラーが窓にオレンジ色のペンキを噴射されるなどの被害に遭っている。ドイツのポルシェ博物館では42時間の座り込みが決行された。

 また娯楽施設も同様だ。フランス、スイス、イタリアでは12月末から国内の複数のスキー場で、積雪量が少ないときのために準備されているスノーマシンが破壊される被害が続いている。犯行声明は出されていないが、現場に残されたロゴがある環境活動団体のものに酷似していることから、その関与が疑われている。(デペシェ紙、1/17)

◆破壊行為に効果はあるのか?
 エコ・テロリズムとも呼べるこれらの過激な活動は、いまだとどまるところを知らない。フランス南部のガール県では昨年末、環境活動家が化学工場に電気を供給する超高圧線を支える鉄塔を切断しようとする動きまで起こっている(フランス3)。

 ますます過激化する様相の抗議運動だが、エコロジーの観点から見た効果はどれほどのものなのか。

 自動車利用を減らしたい環境活動家のなかには、高速道路ブロックという直接的な手段に出る人もいる。たとえば2022年10月末には、パリ南方の高速道路上に活動家らが座り込みをする騒動も起きた(ロト・ジュルナル)。これにより大規模な交通渋滞が起き、一般市民と活動家にさらなる亀裂を生みだしたようだ。

 過激な行動は確かに一時的には衆目を集めるだろう。だが破壊行為はそれ自体が反エコロジカルなのではないだろうか?

Text by 冠ゆき