アメリカに負けたイランでなぜ喜びの声が上がったのか サッカーW杯
◆当局サイドとみなされるサッカー代表
今回、ワールドカップにおけるイランの敗退を国民が祝ったのは、サッカー代表を当局サイドとみなしているためだ。彼らは、国内における抗議運動を十分支持していないと批判されていた。
確かにイラン代表らは、最初の対イングランド戦においては国家斉唱を拒否したが、その後の対ウェールズ戦と、対アメリカ戦では国歌を歌っている。
ただしCNNによると、選手たちは、国歌を歌わなければ家族を暴力や拷問の危険にさらすことになると、イラン革命防衛隊(IRGC)のメンバーから脅されたという。
◆抗議運動を支持した罪で死刑の可能性も
それだけのことで拷問をするのかと疑いたくなるが、イラン当局の動きを見ていれば、それがありえないとは決して言えない。
11月29日のイラン敗北に際し、喜びに沸く市民らが国内各地で歌い踊る様子がSNSに流れたが、カズビーンでは祝っていた女性が警察の暴徒制圧部隊に殴られた。
花形サッカー選手というスターであっても、当局の手は容赦がない。現在アラブ首長国連邦(UAE)に住む元サッカー選手のアリ・カリミは、国内でのデモを助長したとしてイランの司法当局に起訴されているし、同じく元選手のヴォリヤー・ガフーリーは、抗議運動を支持し、イラン代表チームの評判を侮辱し傷つけ、国歌に敵対するプロパガンダに関与したとして11月24日に逮捕された。
10月末には、人気ラップ歌手のトゥマジ・サレヒも、抗議運動を支持する発言をしたとして逮捕されているが、イランの司法当局は、同歌手は死刑になる可能性が高いと、11月27日に発表したところだ(20 minutes紙)。
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