イスラム世界は襲撃犯を賞賛 ラシュディ氏襲撃事件への反応

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 インド出身のイギリスの小説家サルマン・ラシュディ氏が1988年に発表した小説『悪魔の詩』は、イスラム教を冒涜するものと受け止められ、多くの信者から激しい反発を招いた。イランの当時の最高指導者より「死刑」宣告が出され、身を隠していたラシュディ氏だったが、近年は比較的自由な日々を送っていたとされる。しかし、12日にアメリカの講演会場で、同氏が襲撃される事件が起こった。

◆小説で死を要求 30年以上前の宣告とは
 1989年2月に、イランの最高指導者ホメイニ氏は、「すべての勇敢なイスラム教徒」に、ラシュディ氏と「悪魔の詩」の翻訳や流通にかかわる者を殺害するよう求め、300万ドルの懸賞金をかけた。ラシュディ氏への死刑宣告は、イスラム教の法学者によって下される宗教的な見解で、「ファトワ」と呼ばれる。個人、政府、製品などさまざまなものが対象となるが、まれにイスラム教信仰を激しく軽視したとみなされる人に対して、「死のファトワ」が出されることがあるとロンドンのメディア『ナショナル・ワールド』は説明している。

 ラシュディ氏の場合は、小説の内容からイスラム教と預言者ムハンマドを嘲笑していると非難された。ムハンマドの妻にちなんで娼婦たちの名前をつけたこと、ムハンマドに似た名前の人物が悪魔から多神教を認める啓示を受けたように描いたことが例として上げられるという。

Text by 山川 真智子