女性も、性行為なくても感染 サル痘の感染経路、リスクの高い人とは?

サル痘ウイルスに感染した細胞|NIAID via AP

◆感染にとくに用心すべき人とは
 テキサスA&M大学のレベッカ・フィッシャー准教授(感染学)は学術系サイト『カンバセーション誌』(8月8日)に寄稿し、「現在ほとんどの人々にとって、サル痘にかかるリスクは低い」と説明している。リスクがあるのは主に感染者の家族など、長期間の密接な接触がある人々だという。また、男性同士の性交渉を行う人々の間で感染が多くみられることから、限られたリソースで感染対策を効果的に行う意味で、こうした人々が現在、重点的なリスクグループとみなされている模様だ。

 ただしフィッシャー准教授は、「サル痘ウイルスと直接接触した人は誰でも感染のリスクがある」とも述べ、感染リスクは性別や性的趣向に依存しないと説明している。現状では性的接触が主な感染経路となっているが、患部への密接な接触でうつることから、サル痘自体は性感染症とはみなされていないという。

 ロイターは今後感染ルートとなり得る例として、大学の学生寮やジム、スポーツクラブなどで広まるリスクがあると指摘している。CDCによると過去、ブドウ球菌の一種でありスーパーバグとも呼ばれるMRSAがレスリング、フットボール、ラグビーなどのスポーツチームで流行している。ガウンダー医師は用心のため、サル痘の場合もこうした密接なスキンシップを伴うスポーツでの感染リスクに注意するよう提言している。

◆ワクチンが存在するが……
 サル痘にはワクチンが存在する。NYT紙は、男性と性交渉を行っている成人男性で、かつ過去14日間以内に複数の相手と性交渉を行った場合には、市のワクチン接種を受けることができると説明している。

 ただし、現在ワクチンが不足している模様だ。ロイターによると、ワクチン不足が原因で、これまで感染が広がっていた集団以外にもウイルスが広がる恐れがあるという。

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Text by 青葉やまと