デング熱感染者、世界各地で増加報告 雨季にさらなる警戒

ネッタイシマカ|Tacio Philip Sansonovski / Shutterstock.com

 新型コロナウイルス再流行の陰で、世界各地でデング熱増加の報告が相次いでいる。デング熱は蚊が媒介する感染症で、「急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状」を呈する(厚労省)。通常は1週間前後の経過で回復するが、「まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、早期に適切な治療が行われなければ死に至る」こともある(同)。基本的な予防法を確認しておきたい。

◆東南アジアでデング熱感染増加
 東南アジアの各国では軒並み昨年と比べて倍以上の感染者数が報告されている。たとえば、フィリピンのミンダナオ島北部では、6月初旬の時点で、デング熱感染者は3844人を数え、昨年同期の1641人と比べ134%の増加が認められた(アウトブレイクニュース・トゥデイ、6/18)。

 またカンボジアでは、同国保健省が6月10日、今年最初の22週で3人の死者を含む1354人のデング熱感染者を記録したと発表した。これは、昨年同期の2倍以上の数だ。(ヴィダル、6/13)

 3月の時点からデング熱の広がりを警戒していたタイでも、今年上半期で死者6人を含む5196の感染例を記録した(トゥト・ラ・タイランド、7/18)。この死者数は昨年通年の死者数に相当するものだ。また7月頭までには、77の州すべてでデング熱症例が報告されている。(アウトブレイクニュース・トゥデイ、7/14)

 ミャンマーでも、2022年上半期のデング熱累計感染者数は7835人と、昨年通年を上回った。そのうち死亡に至ったのは31人だ。(新華社、7/21)

Text by 冠ゆき