第7波の仏、マスクは「義務」ではなく「推奨」 人々は着用するのか?

パリの地下鉄(6月30日)|Michel Euler / AP Photo

◆筆者の予想とその理由
 筆者は、マスク着用に関して「公徳心」への呼びかけへの効果は期待できないと考える。ただし、その理由は公徳心だけで測れるわけではない。

 一番の理由は、フランス人においては、マスク着用と公徳心を結びつける意識が希薄だというものだ。

 しかも、フランスのこれまでの総感染者数は3061万人を超えている。つまり約6700万人の人口の半数近くが感染済みなのだ。そのため、すでに国民の間に、感染は怖いものという意識が完全に薄れているのだ。むしろ、感染はやむを得ないものであり、ただ重症化を防げばいいという意識が強い。

 もちろん慎重な人もいるが、政府の呼びかけで慎重派が増えることはないだろう。そのため、感染予防を目的とする自発的なマスク着用者は今後もマイノリティにとどまるというのが筆者の予測だ。

 もしくは、いくつかの報道が示唆するように、7月31日の衛生非常事態解除の前に、政府が何らかの制限策導入に踏み切る可能性も捨てきれないが、そこにマスク着用の義務化が含まれるかどうかは微妙である。

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Text by 冠ゆき