中国、国産mRNAワクチンの実用化近づく それでもゼロコロナは継続?

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◆高齢者がそっぽ? ワクチンへの不信感続く
 もっとも国産mRNAワクチンが実用化されても接種は進まないという見方がある。オミクロン株の感染者(とくに高齢者)を重症化や死亡から守るためにはブースター接種が不可欠とされている。しかし中国本土では60歳以上の60%しかブースター接種を受けていない。この年齢層では9000万人以上が3回目接種を受けていないことになる。(同)

 中国では新型コロナのパンデミック以前に、期限切れワクチンの使用や、製造・検査データの捏造といった、製薬業界を巻き込んだ大規模なスキャンダルが起き、ワクチンへの不信感が広がっていた。その後コロナの大感染が起こったが、すでに国産ワクチンの安全性への警戒心が強くなっているところに、中医学を好むことの多い高齢者の多くが、ワクチン接種を拒否するようになった(医学誌ランセット)。

◆接種低迷で経済にも影響 PCR信仰も根強く
 ブルームバーグは、とくに高齢者の3回接種率が低いことが、ゼロコロナ戦略を政府が続ける理由の一つになっていると述べる。シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)は、ワクチンに懐疑的な人々に接種を納得させることができず、新たな感染症に対して経済的に脆弱なまま、ゼロコロナ戦略の行動制限で若者たち、さらには世界市場にも深刻な影響を与えていると批判的だ。国際通貨基金(IMF)は、ワクチン接種を加速させなくては個人消費の回復を損なう恐れがあるとして、中国に接種加速を要請。このままでは通年の成長目標5.5%を達成する可能性も低いという声もある。

 中国国家衛生委員会の専門家委員会の責任者は、都市に十分な医療資源がありワクチン接種率が高くなれば、パンデミックに打ち勝つことができるとしている(ネイチャー誌)。しかし中国では1日数百万件のPCR検査を実施するように設計されており、地方当局がワクチン接種よりも検査を重視する逆インセンティブを生み出しているとリー・クアンユー公共政策学院のアルフレッド・ウー氏は主張している(SMH)。国産mRNAワクチンの実用化に期待は高まっているが、まずは中国のコロナ対応の現場を変えていくことが先のようだ。

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Text by 山川 真智子