疑問視され始めた中国製ワクチン 相次ぐ接種者の感染・死亡例

Aaron Favila / AP Photo

 新型コロナウイルスの発生源ではないか、という疑念は晴れないままだが、国内の感染拡大抑制は早くから成功させている中国。国営製薬会社などがワクチンを開発し、うち「シノファーム」と「シノバック」の2社は、2020年12月から国外への配布を開始している。世界にワクチンを供給することで、存在感をアピールしイメージアップを図ってきた中国だが、このところワクチン接種をした人の感染や重症化、さらには死亡ケースが各国で相次ぎ、その有効性が疑問視され始めている。

◆中国製ワクチンを早期に導入した中東
 アラブ首長国連邦(UAE)は昨年9月、中国国営製薬会社「シノファーム」が開発したワクチンの緊急使用を承認すると、12月には世界で初めて市場提供を正式承認し(BBC)、国内で接種キャンペーンを展開した。周辺諸国からの信頼が厚いUAEの正式承認を受け、近隣のバーレーンやエジプト、ヨルダンなども、相次いで国民のワクチン接種を急いだ。

 承認に先駆けUAE政府は、多様な国籍からなる3万1000人の治験協力をシノファームに提供し、86%の効果があったと発表。世界のどこよりも早く開始したワクチン接種キャンペーンは、中国製のワクチン接種に懐疑的だった地域の人々の躊躇を押しのける勢いで展開し、Bloomberg社が公表するワクチン・トラッカーによると、7月15日の時点で少なくとも1回の接種を終えた人の割合は、世界第一位の75.3%に達した。

Text by 佐藤さとみ