米、子供の「大麻菓子」誤食が多発 1歳児が搬送された事故も

大麻成分入りのグミ|ZaneBolen / Wikimedia Commons

◆大麻入りスナック菓子を学校や公園で違法販売
 子供を狙ったTHC入りのスナック菓子を違法に販売する手口も報告されている。ペンシルベニア州フィラデルフィアで5月、20歳の男が市販のスナック菓子に大麻成分を注入し、子供たちにインスタグラムを通じて違法に売りつけ、逮捕される事件が発生した(Philly Voice、6月16日)。

 この生徒のほか、最年少の11歳を含む17人の未成年者が、容疑者から学校や公園、自宅で大麻入り菓子を手渡しされ、なかにはほかの子供へ売る方法を指南された子供もいた。同級生から購入したスナック菓子を食べた男子生徒が不調を訴え、病院へ搬送されたことから事件が発覚した。フィラデルフィアでは成人による個人の嗜好用大麻所持・使用は合法化されているが、個人の大麻取引は禁止されている。(同)

 フィラデルフィアと同様に他州も個人の大麻取引を規制している。

◆味も形も人気商品にそっくり パッケージの規制強化で対抗
 事故多発の原因は、一つには大麻成分入りの菓子が人気ブランドと色や形、パッケージまで類似していることだ。なかには、製造元の記載のないものまで流通している(CNN、4月19日)。

 事故防止のため、州によっては規制を強化している。コロラド州は2016年に大麻成分入りの菓子類のパッケージの基準を設け、パッケージに大麻含有を示す表示や子供が開封できないように蓋つきやチャック式の使用を義務付けた(アメリカ・アディクションセンター)。

 ミネソタ州は6月、大麻含有食品のパッケージや販売、成分を規制する新たな法律を制定し、THC含有量を一人一食あたり5ミリグラム以下、一袋あたり50ミリグラム以下に規定している(CBSニュース、6月21日)。

 ニューヨーク大学グローバル・ヘルス疫学の専門家ダニエル・オムパッド准教授が、大麻含有のキャンディとスナック菓子を調査したところ、1袋あたり500〜600ミリグラムのTHCを含有していた。500〜600ミリグラムは大人でも相当な量であり、オムパッド准教授は「1袋食べたら悲惨な状況になるでしょう。娯楽で使用する人でも10ミリグラム以上は食べません」と述べる。(CNN)

 子供は成分も知らなければ、一日の最低摂取量も知らずに食べてしまう。こうした問題に法律で規制しようとしても、甘いお菓子の誘惑から子供を守るのは一筋縄ではいかないのではないだろうか。

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Text by 中沢弘子