「サル痘、欧州のレイヴでの性行為で拡散した可能性」専門家が指摘
◆性的指向に関係なく、性行為でリスク上昇
WHOで緊急対策班の元責任者を務めてきたデイヴィッド・ヘイマン博士は、AP通信に対し、「サル痘は感染者の患部への密接な接触によってうつることがわかっており、今回の感染拡大は性的接触を通じて規模を増したものとみられる」との見解を明らかにした。
ただし、これはサル痘が同性愛の男性にのみ感染することを意味するものではない。WHO職員は5月23日、サル痘は誰しも感染する可能性がある感染症であると指摘し、感染した人々を不当に非難することのないよう念を押した。インペリアル・カレッジ・ロンドンのウイルス学者であるマイク・スキナー氏はAP通信に対し、一般的に性行為自体が密接な接触を伴う性質があり、「個人の性的指向がどのようなものであろうとも」性行為そのものが「感染の可能性を上げる」と指摘している。
◆サル痘とは
サル痘は通常アフリカの野生動物から感染する感染症で、皮膚に小さな水疱を生じる。水疱の発生に先立ち、発熱や筋肉痛、悪寒などを生じることがある。悪化すると死亡に至る可能性があり、死亡率はウイルス株によって1〜6%とされる。
ワクチンの開発を急ぐべきだとの声も上がるなか、英テレグラフ紙は、天然痘に対する既存のワクチンが有効だと報じている。天然痘はサル痘に関連する疾患であるため、既存ワクチンが85%ほどの有効率で機能する。今回のサル痘蔓延に関し、天然痘が40年前に撲滅されたことでそのワクチン接種が減速し、結果として流行の下地を作ったとする説も未確定ながら出ている。感染者数は5月20日までにイギリスで20件、ポルトガルで23件、スペインで30件などとなった。死亡例は現時点で報告されていない。
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