英で「9日間公共放送なし」実験 受信料抵抗派7割が「支払いたい」に変化

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 イギリスの公共放送であるBBCは、人々がBBCに対してどれほどの価値を見出しているかを明らかにするために委託調査を実施。対象家庭に対して9日間サービスを停止するという実験を行った結果、大半の家庭がBBCの価値を過小評価していたということがわかった。

◆BBCのない暮らし
 調査は、メディア、テクノロジー、エンターテインメント、広告に特化した調査・コンサルティング会社のMTMが実施。「BBCのない暮らし(Life without the BBC)」と題された調査は7年前に一度実施されたもので、今回実施されたのはその更新版だ。

 調査は、3つのカテゴリーの対象家庭に対して9日間BBCのサービスを停止し、その後、9日間分の受信料に相当する額が入った封筒を渡す。そして、調査期間の前後での受信料やBBCに対する価値観の変化を測るというものだ。今回の調査は、英国の16の異なる地域から選ばれた80の家庭が対象となり、合計200人近くが参加。調査報告書によると、現状すでに過半数の視聴者が受信料支払いに同意しているが、今回の調査では、マイノリティにあたる受信料抵抗派、つまり受信料をできれば支払いたくないと考える視聴者と、受信料が高すぎると考える視聴者を主な対象に絞って実施された。具体的には、80の対象家庭のうち、30が受信料支払い反対派(受信料の支払い意思なし、BBCは不要と考える)、30が受信料値下げ希望派、そして20が受信料全額支払い同意派という内訳だ。

 サービス停止後のアンケートの結果、受信料抵抗派(反対派および値下げ希望派)の60家庭のうち42の家庭が現行の受信料全額もしくはそれ以上を支払う意思があると回答した。つまり、7割の家庭が、BBCの価値を過小評価していたことを認めたということだ。7年前の調査でも「BBCのない暮らし」を経て、同様に約7割の家庭がBBCの価値を認めた。7年前に比べて、メディア業界における競争がより激化しているなか、人々は引き続きBBCのコンテンツに価値を見出しているという結果である。一方、受信料全額同意派についても20の家庭のうち19の家庭が、現行の受信料全額もしくはそれ以上を支払う意思があると回答した。残りの1家庭は、値下げ希望派へと転換した。

Text by MAKI NAKATA