中国の子育て費用が高騰 1人当たりGDPの6.9倍、日米を上回る
◆日本より悪化も? 対策なしなら国家的危機に
中国政府は、若者の出産意欲の低下を非常に懸念している。出産可能年齢にある女性が生む予定とされる子供の数は年々減少し、2021年には1.64人となった。婚姻数も2013年から7年連続で減少している。2021年の合計特殊出生率は1.15となり世界最低水準に達している。(環球時報英語版)
シンクタンクのメンバーである北京大学の経済学教授は、超高齢化社会の日本では約30年前に記録的な低出生率となったが、その後1.30程度を維持することができたと指摘。もし中国が出生率改善のための効果的な対策を講じなければ、2040年までに経済成長の鈍化、高齢者の急増、技術革新の弱体化など、日本よりもひどい状況に直面すると危機感を露わにしている。具体的には、現金支給、住宅補助、託児所建設の3つにGDPの5%を毎年投入し、出生率を先進国並みに改善することを求めている。(同)
◆お金だけの対策に疑問も より柔軟な対策も検討へ
もっとも、ソーシャルメディア上では、出産育児が当然のように女性に求められている不平等を指摘し、出産がほとんど女性の負担となることへの解決策を求める声もあるという(ロイター)。また、子育て費用の削減のために、政府が教育産業への規制や取り締まりを強化したことについても、中国の家庭は子供の教育優先で、塾や家庭教師をやめさせてもこの問題は解決しないという意見もある(中国情報誌シックスス・トーン)。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によれば、報告書はこれまで以上に出生率を上げる取り組みとして、賃金の安い外国人家政婦を雇用する条件の緩和を提案。これにより家計の支出が大幅に削減され、出生率を押し上げる可能性があるとしている。また、未婚女性の出産の権利を保護し、人工授精など技術的補助へのアクセス緩和を求めている。さらに非嫡出子への差別を見直し、無条件での戸籍登録も含めその権利を守るべきとしている。これまでになく思い切った提言となっていることに中国の少子化問題の深刻さが表れていると言えるだろう。
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