「子供3人なんて無理」冷めた中国市民 一人っ子政策の重いツケ

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 中国政府はこのほど、1夫婦につき3人の子供を容認すると発表した。30年以上にわたって「一人っ子政策」を支持してきた中国が、2人目の出生を容認したのは5年前。深刻な少子高齢化が浮き彫りとなった中国で、この政策が意味するのは何か。

◆国勢調査で明るみになった深刻な高齢化社会
 中国では1979年に「計画生育」による一人っ子政策が施行され、人口急増の抑制と経済発展を達成してきたとしている。しかしその結果、若年層や労働人口が減少し、男女比率が不均衡でいびつな人口構成が、現在大きな社会問題となりつつある。

 きっかけとなったのは、2020年に実施された国勢調査だ。中国の総人口はわずかに増加し14億1000万人に達したものの、増加率は史上最低であった。さらに、出生率は過去50年で最低の「超高齢化社会の日本と同じ、1.3人にまで落ち込んだ」と中国国営テレビ局中国グローバルテレビジョンネットワーク(以下CGTN)が報じている。政府は2015年には第2子の出産を容認し、出産規制の緩和に転じたものの、思うような出産ブームを誘発するに至らず、今回の三人っ子政策の発表へと行きついた形だ。

 また急速な高齢化も深刻だ。労働人口とされる15歳から59歳までの人口は、2010年に実施された前回の調査から4000万人減の8億9400万人であった。一方で、60歳以上の高齢者が総人口の約18.7%にあたる2億6400万人に達し、この高齢者の割合は今後2035年ごろまでに30%以上に移行すると予想されているのだ。(新華社通信

Text by 佐藤さとみ