中国で新規感染5000人超、オミクロン株拡大 各地でロックダウン

都市封鎖4日目の吉林省長春市(3月14日)|Chinatopix Via AP

◆ますます細る中国への道
 中国は入国者に新型コロナ陽性者が出た場合、輸送した航空会社への制裁措置を取っている。制裁の内容は、感染者が出た路線の一時停止や乗客制限だ。この制裁は頻繁に発動されている。中国民用航空局のサイトでも、中国と世界を結ぶ多くの路線が2週間単位で運航中断を余儀なくされていることが確認できる。パンデミック以来中国は国際便を劇的に減らしており、運航数はパンデミック前の2%に過ぎない。そこにこの制裁「運休」が加わり、たとえばフランスと中国を結ぶフライトは3ヶ月間で50便以上がキャンセルされている。(レゼコー、2/9)

 また現地情報によれば、中国民用航空局は上海での感染拡大を食い止めるため、3月17日から6週間、上海着陸予定の国際便をすべて別都市の空港に誘導すると発表した。

◆グローバルサプライチェーンへの影響必至
 12日の新規感染例が66件報告された深圳も、14日から7日間のロックダウンに踏み切った。人口1700万人の深圳はファーウェイやテンセントが本拠を置く都市で中国のテクノロジーの中心地だ。ロックダウンにより、成人は計3回の検査が義務付けられ、基本的にステイホームを守らなければならない。バスや地下鉄も運休となり、食料品店や薬局だけが営業を許される。(ニューヨークタイムズ、3/13)

 深圳は2021年5月に新型コロナ感染を理由に、港を約1ヶ月間閉鎖したことがある。これは世界の海運に影響を及ぼし、運賃を高騰させ、インフレの原因ともなった(アルジャジーラ)。この反省から中国では港湾労働者をドックに住まわせ、港の運営の持続を図ってきたが、今回の深圳の封鎖命令には、港湾労働者の免除は明記されていない模様だ(ニューヨークタイムズ)。オミクロン株の感染の速さを考えると、従来のゼロコロナ政策が通用したとしても7日間で事態が収束するとは考えられず、グローバルサプライチェーンへの影響は今回も必至と思われる。

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Text by 冠ゆき