中国の「ゼロコロナ戦略」、デルタ株出現で限界か 悪影響指摘する声

PCR検査を受ける武漢の住民(8月3日)|Chinatopix via AP

 中国は徹底した検査と隔離やロックダウンを通じて、国内の新型コロナウイルス感染をほぼゼロに抑えてきた。ところが最近デルタ株によるアウトブレイクが各地で起きており、封じ込めに苦戦している。欧米ではワクチン普及である程度の感染を許容し経済活動再開に舵を切っており、このままでは中国は国際的に不利な立場に追い込まれるという見方が出ている。

◆厳しい管理をすり抜け、デルタ株ついに流入
 中国は、現在ここ数ヶ月で最悪の感染拡大に直面している。7月20日に南京の空港で清掃員がデルタ株に感染したと見られ、ここからウイルスが少なくとも17の省に広がった。感染者数は数百人規模で人口14億人の中国からすれば微々たるものだが、当局は数百万人の市民を検査し、移動の禁止やロックダウンが各地で行われている。(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、以下SCMP)

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によれば、南部の国境沿いの地域にもデルタ株が流入している。中国国家衛生健康委員会の幹部は、一瞬たりともウイルスの出現を食い止める手を緩めてはならないと述べており、隔離用施設やハイテク健康観察機器などの導入が行われているという。

Text by 山川 真智子