米国で老朽化インフラが放置される理由 築50年の橋崩落

Gene J. Puskar / AP Photo

 米ペンシルベニア州ピッツバーグで、建設から50年以上経過した橋が崩落し、10人が負傷する事故が起きた。アメリカでは、昨年11月に老朽化した橋や道路などを整備するための総額1兆ドル規模のインフラ投資法案が成立している。事故を受けてバイデン大統領は改めてインフラ整備を急ぐ考えを示したが、いくつかの問題点が指摘されている。

◆危険な橋続々 長年の後回しの結果
 AP通信によれば、一般的に橋の検査は2年に1度行われ、古い橋や評価の低い橋はさらに頻繁に点検されるという。今回崩落した橋は、2019年9月の検査では「不良」とされていた。米国道路交通建設者協会では、検査報告書をもとに橋梁の状態を毎年発表しているが、最新の報告書では全米の約61万5000本の橋のうち4万3500本以上が不良とされている。

 ピッツバーグのニュースメディアTribは、橋などのインフラ整備はいつも政治家の演説に登場するのに、なぜか予算では優先順位が下げられてきたと述べる。今回の崩落は、生活や経済に最も重要なインフラを最小限の投資で修理しようとしてきたこの数十年のツケが回ったものだと批判している。

Text by 山川 真智子