薬が効かないスーパーバクテリアの感染症、年120万人超が死亡
◆パンデミック並みの危機感を
今回の研究によれば、薬剤耐性を持つ主要な病原体は6つ(大腸菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿(カン)菌、肺炎レンサ球菌、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌)あり、この6つが原因となり死亡した人は92万9000人いたという。
カリフォルニア大学の疫学者ステファニー・ストラスディー教授は「これはもうパンデミック段階にあり、世界的危機だ」と認識する(フュチューラ・サンテ)。
この問題に立ち向かうためランセット研究は、次のような行動をとるべきだと挙げている。既存の抗菌薬の濫用をやめ、その使用を最適化すること。新しい抗菌薬と治療法の開発への投資を増やすこと、などだ。
◆期待高まるファージ療法
なお、薬剤耐性菌への対抗策として現在大きな期待が寄せられている手段のひとつとして、バクテリオファージの研究がある。バクテリオファージとは、特定の細菌(バクテリア)を殺すウイルスをいう。実際、2年近く薬剤耐性菌感染症に苦しんだ患者が、ファージ療法によってスーパーバクテリアから解放された事例も学術誌ネイチャーコミュニケーションズ(1月18日)で報告されたところだ。
【関連記事】
コロナ不活化、人体にも安全 進化する紫外線(UV-C)殺菌
人類自ら招いているパンデミック 次を避けるために個人ができることは?
温暖化で溶ける氷、蘇る病原体……パンデミックの危険性は?