地球内部が予想よりはるかに速く冷えている スイス研究

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 スイス工科大学チューリッヒ校(ETHZ)などの研究者たちはラボでの実験により、地球のコアの熱を封じ込めているのと同じ物質の熱伝導率を調査した。これまで考えられていたよりも伝導性が高いことが判明し、予想より早く地球が熱を失う可能性が出てきた。

◆誕生以来、冷え続ける地球
 地球は数十億年をかけ、ゆっくりと冷えていっている。45億年前に地球が誕生した際、その表面はマグマの海に覆われていた。以来、熱を放出することでゆっくりと冷却され、現在のような冷えた地殻がある状態となった。いまでも中心部のコアは極高温だ。その熱で中間層のマントルが熱せられ、深部と地表付近の間を対流している。プレートの移動や火山活動などは、このように地球が熱をもちマントルが動いている証拠だ。しかし、いずれはさらなる冷却によって、こうした活動も停止すると考えられている。問題はいつまで継続するかだ。

 ETHZの村上元彦教授(地球惑星物理学)は、米カーネギー研究所の研究者たちの協力を得て、この謎の解明に挑んだ。キーとなるのは、コアとマントルの境界部分の層の熱伝導率だ。コアとマントルは温度差が非常に大きく、この層がどれほどの効率で熱を伝導するかが内部熱の放出効率に大きく影響する。教授たちは特殊な測定機器を開発し、地球深部の圧力と温度条件を再現することで、この境界層を主に形成する「ブリッジマナイト」と呼ばれる鉱物の熱伝導率を再現した。

Text by 青葉やまと