試されるオランダ王室:パンデミックが深めた国民との溝

ウィレム・アレクサンダー国王夫妻(2019年)|Ronald Wilfred Jansen / Shutterstock.com

 若い時はやんちゃで鳴らしたこともあるオランダのウィレム・アレクサンダー国王も、2013年の即位以来、国民の信頼は厚く、2018年の調査では78%の高評価を得ていた。ところが、パンデミック以来、図らずも王室と国民の意識の差が浮き彫りとなり、支持率は急低下。いまだ回復に苦労している様子だ。何が問題となったのか。

◆行動制限中のギリシア旅行
 オランダ王室の人気を下げた最初の要因は、2020年8月にギリシャのミロス島で撮られた国王夫妻の写真だった。当時のオランダは、春から敷かれた厳しい措置こそ幾分緩和されていたものの、まだ感染予防対策の順守が呼び掛けられている時期だった。それにもかかわらず、国王夫妻が、ギリシャでフィジカル・ディスタンスも守らず、マスクも着用していない様子が写された写真は物議を醸した。(シュッド・ウェスト紙、4/27)

 しかも、国王夫妻はその2ヶ月後の10月、再びギリシャにバカンスに出かけたが、これは感染再拡大により同国が部分的ロックダウンに踏み切った時期と重なっており、国民からは非難が殺到した。これを受け夫妻は到着翌日には慌ただしく帰国し、ビデオで謝罪スピーチを発表するも、12月の支持率は47%にまで低下した。(同上)

Text by 冠ゆき